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「テキサスの誇りはあるか?」米中間選挙、映画監督が反テッド・クルーズの動画公開

ローリングストーン日本版 のロゴ ローリングストーン日本版 2018/10/12 11:45 Ryan Bort

© Culture Entertainment Co.,Ltd. 提供 11月に控えた米中間選挙、テキサス州では共和党候補で現職のテッド・クルーズ、民主党のベト・オルーク上院議員候補が激突。この度、テキサス出身の映画監督、リチャード・リンクレイターが、反テッド・クルーズの選挙用広告動画をウェブにアップした。

リチャード・リンクレイターほど芸術的にテキサスを描く人は滅多にいない。『バッド・チューニング』から『6才のボクが、大人になるまで。』そして『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』まで、彼が作った映画はすべてテキサス州での人生を描いている。それも、そこでの生活を本当に理解している人物の目を通した繊細なタッチとともに。

成功を収めた映画監督にもかかわらず、彼はハリウッドよりも自分の生まれ故郷ヒューストンから200マイル足らずにあるオースティンを気に入って住んでいる。リンクレイターの最新作『Tough as Texas(原題)』は30数秒の作品で、アメリカ現地時間10月8日の夜にウェブで公開された。撮影はワンカット、明らかにテキサスのコーヒーショップの店内、たった一人の出演者は明らかにテキサス人。テキサス人気質ゼロの男をこき下ろして笑っている。笑われているのはテッド・クルーズ上院議員。

「誰かが俺んちの入り口に何かを置いてった。それには『テッド・クルーズ、テキサスと同じくらいタフだ』と書いてあった」と、この男は言う。「誰かが俺んとこのカミさんを犬って呼んでも、俺の親父がケネディ暗殺に加担してたって言っても、俺は怒らねえ。でも、あんたなら相手の胸ぐらに指を突きつけて、御大層な言葉で責めるだろうな。そうじゃなきゃ、人気のない裏山に引っ張っていってぶっ飛ばすんだろ、テッドさんよ。なあ、そうだろう、テッド」と。

この広告は反クルーズの政治行動委員会(PAC:個人の政治資金団体)が資金を出して作ったもので、今年の上院選挙戦でクルーズの対立候補であるベト・オルークの支援は受けていないが、そのシンプルさには美しさすら感じさせる。そして、対立候補よりも本物のテキサス人気質を持っていると主張するクルーズの選挙キャンペーンの痛いところを突いている。

世論調査でオルークの支持が上がると、クルーズは文化的な部分を強調するようになり、オルークがテキサスを「豆腐とシリコンとヘアダイの」カリフォルニアに変えようとしていると言い出したのである。さらに、オルークがテキサス州でのバーベキューを禁止するかもしれないという冗談まで飛ばした。しかし、テキサス人にとってアイデンティティを象徴するのは地元の料理ではなく、気骨であり、リンクレイターの広告が指摘している通り、クルーズは気骨のあるところをこれまで見せてこなかったのである。

2016年の大統領選の最中、クルーズはトランプとの悪意に満ちた見苦しいバトルに終始した。3月にトランプはクルーズの妻ハイディを醜いと仄めかす画像をリツイート。これに対する報復として、クルーズは露出度の高いメラニアの写真をツイート。それに刺激されたトランプは、クルーズが「気をつけないと」ハイディの「秘密を漏らす」と脅した。その2〜3カ月後、トランプはクルーズの父親がダラスで起きたジョン・F・ケネディの暗殺事件に関わっていたかもしれないという考えを広めた。選挙戦の頃はトランプの攻撃に常に応戦していたクルーズだが、トランプに負けてからは他の共和党員に倣ってトランプに従っている。

2016年のクルーズとトランプの激しいバトルを思い起こさせる反クルーズ広告はリンクレイターの作品が初めてではない。トランプがテキサスでの決起集会に参加してクルーズの再選への立候補を後押しすると発表されると、多くの人々があるツイートを指摘した。それはクルーズが代表を務めるテキサス州での彼の記録をトランプが強烈に非難した内容だ。「どうしてテキサス州の人々が自分たちのための成果がほとんどないテッド・クルーズを支持するというのか?」と、2016年2月にトランプがツイートしていた。「彼も口先だけで行動が伴わない政治家だ」と。フロリダ州パークランドの高校銃撃事件の生還者デヴィッド・ホグを含む活動家たちは資金を集めて、このときのツイートを記した宣伝広告車を手配した。

リンクレイターがクルーズを批判したのはこれが初めてではない。「私にとってトランプよりもクルーズのほうが怖い」と、彼は2016年4月にガーディアン紙に語っている。「クルーズは自分が言ったことを信じ込むんだ。トランプは何も信じちゃいないが……トランプは愛情に飢えたナルシシストってだけだ。クルーズは賢い男に見えるが、『地球が誕生して何年だ?』とか『生物学を信じているか?』というような質問をした人がこれまで一人もいない。それは彼が生物学を信じていないからだ」と(※テキサス州はバイブルベルトの一地域でキリスト教信者が多く、人間は神の子と信じている人が多い)。

その数カ月前、リンクレイターはデイリー・ビーストの取材で当時大統領候補だったクルーズを「邪悪」で「計算高い」と呼び、「クルーズは意見の衝突を招きやすいし、詳しく調べてみると、彼には勝つチャンスはないと思う」と述べた。

2016年のクルーズ落選というリンクレイターの予想は正しかった。今回の彼の広告の効果と、彼がスポンサーを務めるベト・オルーク・ショート・フィルム・コンテストの結果は、もうしばらくしなければわからないが、クルーズを上院から追い出すことにつながるのだろうか。ニューヨーク・タイムズ紙が10月8日に開始した最新の世論調査では、クルーズがオルークより12ポイント勝っている結果となっている。エマーソン・カレッジが10月7日に発表した世論調査の結果ではクルーズが5ポイント勝っている。ちなみに2016年のテキサス州でトランプはたった9ポイント差でヒラリー・クリントンに打ち勝っている。

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